住んでいる賃貸物件のフローリングが、きしんだり、ささくれていたり、あるいは傷だらけで、生活する上で不便や不快を感じている。そんな時、大家さんにフローリングの全面張替えをお願いしたいと考えるのは自然なことです。しかし、ただ「張り替えてください」とお願いするだけでは、なかなか聞き入れてもらえないかもしれません。大家さんに納得してもらい、気持ちよく対応してもらうためには、いくつかの交渉のコツがあります。まず、最も重要なのは「交渉のタイミング」です。最も効果的なタイミングの一つが、「契約更新」の時期です。大家さんとしては、優良な入居者にはできるだけ長く住み続けてほしいと考えています。「このフローリングの状態が改善されれば、今後も長く住み続けたいと思っています」という意思を伝えることで、大家さん側も前向きに検討してくれる可能性が高まります。次に重要なのが、「客観的な事実をもって交渉する」ことです。単に「古くて汚い」といった主観的な表現ではなく、「歩くたびに大きな音がして、夜間は気を使う」「ささくれがひどく、子供が怪我をしそうで危ない」「床が沈む部分があり、転倒しそうになった」など、生活に具体的な支障が出ている点を、冷静に、そして具体的に伝えましょう。その際、床のきしむ音を録音したり、問題箇所の写真を撮っておいたりすると、より説得力が増します。また、交渉の際には、謙虚な姿勢を忘れないことも大切です。あくまで「お願い」「相談」というスタンスで話を進めることで、相手の心証も良くなります。もし、費用面で大家さんが難色を示した場合は、「例えば、グレードの低い安価な床材でも構いません」といった譲歩案を提示したり、「家賃を少し上げても良いので検討していただけませんか」と提案したりするのも一つの手です。上手な交渉とは、自分の要求を一方的に押し付けるのではなく、相手の立場も理解し、お互いの妥協点を見つけていく共同作業なのです。