網戸を閉めてみると、取っ手のある右側はサッシにぴったりと合わさっているのに、なぜか壁際である左側だけ、下にいくにつれて隙間が広がっていく。この「なぜ左だけ?」という現象は、多くの人が経験する網戸の謎の一つです。まるで網戸が歪んでいるかのように思えますが、実はこれは、網戸が「傾いている」ことによって起こる、ごく自然な現象なのです。この謎を解き明かす鍵は、やはり網戸の下についている左右二つの「戸車」にあります。網戸がまっすぐに立っている状態とは、左右の戸車の高さが、レールの状態に対して適切に設定されている状態です。しかし、長年の使用による振動や、あるいは掃除や張り替えの際に網戸を動かした衝撃などで、この左右の戸車の高さのバランスが崩れてしまうことがあります。例えば、左側の戸車が、右側の戸車に比べて相対的に「低く」なってしまったと想像してみてください。すると、網戸は左側が下がり、右側が上がるように、時計回りにわずかに傾きます。この状態で網戸を閉めると、どうなるでしょうか。網戸の上部は壁に近づきますが、傾いている分、下部は壁から離れてしまい、結果として「左側の下に隙間ができる」という現象が発生するのです。これが、「右はピッタリなのに、左だけ隙間」の正体です。つまり、この問題を解決するためには、網戸の傾きを元に戻してあげれば良いのです。その方法は、これまでにも解説してきた通り、「戸車の高さ調整」です。このケースの場合は、下がってしまっている「左側の戸車を上げる(ドライバーを時計回りに回す)」、あるいは、上がりすぎている「右側の戸車を下げる(反時計回りに回す)」ことで、傾きを補正します。左右の調整を少しずつ行い、網戸を閉めた状態で、左側の壁との隙間が、上から下まで均等になるように微調整していきましょう。「なぜ左だけ?」の謎が解ければ、もう隙間は怖くありません。原因は傾きにあり。解決策は、戸車の高さ調整にあります。