一戸建てのフルリフォームを500万円の予算で行う場合、期待できることは多々ある一方で、この予算では実現が難しい、あるいは不可能であると理解しておくべき項目も存在します。これらの限界を事前に把握しておくことで、現実的な計画を立て、不必要な期待を抱かずにリフォームに臨むことができます。まず、最も難しいのは「大規模な間取り変更や増築」です。500万円の予算では、壁を取り払って広いリビングを作る、部屋数を増やすために増築するといった、建物の構造体にまで及ぶような大規模な工事は、ほぼ不可能だと考えて良いでしょう。構造躯体に関わる工事は、費用が非常に高額になるため、予算を大幅にオーバーしてしまいます。もし間取り変更を希望するのであれば、既存の壁を活かした最小限の変更に留めるか、優先順位を下げて他の箇所に予算を集中させる必要があります。次に「建物の性能を飛躍的に向上させる大がかりな改修」も難しいでしょう。例えば、家全体の断熱性能を最高レベルに引き上げるための全面的な断熱材の入れ替えや、全ての窓を高機能なトリプルガラスサッシに交換するといった工事は、高額な材料費と施工費がかかるため、500万円の予算では対応しきれません。部分的な断熱改修や、既存窓への二重窓設置といった工夫で対応することになります。また、「全ての設備を最高グレードの最新モデルにする」ことも困難です。キッチン、浴室、洗面台、トイレといった水回り設備は、それぞれ高機能な最新モデルを選ぶと、一台だけで数十万円から百万円を超えることもあります。500万円の予算では、これらの設備の中から優先順位をつけて、標準グレードの製品を選択することになるでしょう。全ての設備を最高グレードに統一することは、この予算では現実的ではありません。さらに、「屋根の全面葺き替えや外壁の全面張替え」といった外装の大規模改修も、500万円の予算では難しい場合が多いです。これらの工事は、建物の規模や使用する材料によって費用が大きく変動しますが、一般的には数百万円単位の費用がかかるため、予算オーバーとなる可能性が高いです。部分的な補修や再塗装で対応することになるでしょう。500万円の予算で一戸建てのフルリフォームを行う際は、何ができて何ができないのかを明確にし、優先順位をしっかりとつけて、現実的な目標設定を行うことが、成功への鍵となります。