私の実家は築40年の木造住宅で、浴室は冬になると外気温と変わらないほど冷え込むタイル貼りの古い空間でした。両親も高齢になり、深い浴槽での立ち上がりや滑りやすい床が危険だと感じ、バリアフリー化を目的としたリフォームを行うことにしました。今回のプロジェクトの最大の目的は、安全性の確保と断熱性能の向上です。古い在来工法の浴室を解体し、1坪タイプのシステムバスを導入する計画を立てましたが、最終的にかかった費用の総額は185万円となりました。この金額は、一般的な相場よりも少し高めですが、それには築40年ならではの理由がありました。解体したところ、やはり長年の水漏れによって浴室周りの土台と柱の根元が腐食しており、その交換と補強工事に約15万円の追加費用が発生したのです。しかし、これは建物の寿命を延ばすために避けては通れない投資でした。システムバス本体には、介護を見据えて手すりを3箇所に設置し、浴槽を跨ぎやすい高さのタイプに変更しました。また、ヒートショックを防ぐために、天井と壁だけでなく床下にも厚い断熱材を入れ、窓を断熱性能の高いペアガラスのサッシに交換しました。これに伴う窓交換工事費として12万円がかかりましたが、これで冬の寒さは劇的に改善されました。支払額を抑えるために、両親が加入している介護保険の「住宅改修費支給制度」を利用しました。これにより、手すりの設置や段差解消にかかった費用のうち、上限20万円の9割にあたる18万円が還付されました。さらに、自治体の省エネリフォーム補助金からも10万円を受け取ることができ、実質的な負担額は約157万円まで軽減されました。完成後、父は「お湯が冷めにくくなったので、最後に入る自分でも追い焚きが少なくて済む」と喜んでいます。高齢者の住む家において、風呂のリフォーム費用は単なる設備の更新ではなく、事故を防ぎ健康を維持するための医療費のような意味合いを持ちます。築年数が古い家ほど、目に見えない部分への補修費が必要になりますが、適切な制度を活用しながらしっかりと手を入れることで、家族が安心して長く暮らせる環境を整えることができました。