30年間、家族のために働き続けて定年を迎えた時、私と妻が自分たちへのご褒美として真っ先に選んだのが、お風呂のリフォームでした。子供たちが独立し、これからは夫婦2人で穏やかな時間を過ごすための空間に作り替えたいと考えたのです。私たちがリフォームにかけた費用は総額で250万円。これは相場からすればかなりの高額ですが、私たちは細部にまで徹底的にこだわりました。まず、浴室の壁には本物の天然石に近い質感を持つ大判のセラミックタイルを採用し、ガラスのドアを設置して脱衣所との一体感を演出しました。これだけで従来のシステムバスの倍以上の価格になりましたが、朝に光が差し込む浴室の美しさは格別です。また、冷え性の妻のために、ミストサウナ機能と床暖房を導入しました。この2つの設備だけで30万円ほどの追加費用となりましたが、冬の夜でも体の中からしっかりと温まり、夜もぐっすり眠れるようになったと妻は喜んでいます。さらに、年齢を重ねた時のことも考え、目立たない場所にさりげなく手すりを配置し、浴槽の床には滑り止めの特殊加工を施しました。リフォーム会社との打ち合わせには3ヶ月を費やし、何度もショールームを回りましたが、その時間さえも楽しい思い出です。工事期間中は近くの銭湯に通う不便もありましたが、出来上がったお風呂に初めて2人で入った時の感動は忘れられません。以前の浴室はただ汚れを落とすためだけの場所でしたが、今は1日の終わりにゆっくりと読書をしたり、音楽を聴いたりしながら、自分を労わる大切な聖域になっています。もちろん、もっと安く済ませる方法はいくらでもありましたが、これからの20年、30年をこの場所で過ごすことを考えれば、1日あたりのコストは決して高くありません。形に残る贅沢として、そして自分たちの健康を守るための基盤として、この風呂のリフォーム費用は最高の使い道だったと確信しています。定年後の暮らしに彩りを添えてくれる新しいバスルームは、私たちにとって第二の人生のスタートを祝う、最も価値のある贈り物となりました。